社長ブログ:時にふれてBLOG

己れをつくる

更新日:2023/08/29

今週は第100回目、244ページ「己れをつくる」です。しばらく間が空きました。Hoさんの担当で2週間前の予定で、文書で提出してくれていました。H0さんは、読み合わせの後に感想として読み上げて頂きました。次の文書です。

私は、伊藤忠商事の企業理念である『売り手よし、買い手よし、世間よし』という言葉が大好きです、解りやすく目指す事をコンパクトにまとめられた言葉である為心に残ります。

 この己をつくるの内容で直感的におもったことは、会社を大きくするためには、売り上げを伸ばすための才覚や商才が必要である【前半部分の売り手よし、買い手よしの部分】が、後半部分の『徳』を高めて『己』をつくれ、の部分に関しては、【世間よし】を自分で表現するための手法として己を高めて、世間からも必要とされる企業を目指していくということなのだと思いました。 今、マスコミを騒がせているビックモーターの事件が典型的にわかりやすいので引き合い出しますと、ビックモーターの経営理念は以下の通りです。

 1.常にお客様のニーズにあったクオリティの高い商品、サービス、情報を提供する。

  この部分は【買い手よし】に該当

2.目標利益を確保して会社を存続発展させる

  【売り手よし】に該当

3.社員の生活安定向上を図る

  【売り手よし】に該当

 上記の通り、【売り手よし】【買い手よし】の部分に当てはまる起業理念は有りますが、最後の【世間よし】の部分に当てはまることば有りませんでした。この【世間よし】のない理念に基づき経営を行うと世間を気にしなくてもよいとは書いていませんが、顧客ニーズや売り手の利益が、世間一般の常識や守らなければならない秩序から離れても、優先順位上問題ないという風土がいつの間にか会社で出来上がっていったのではないかなと思います。そういう意味では、企業理念は会社を写す鏡で、会社を経営するためには、『売り手よし、買い手よし、世間よし』について一つでもかけていれば、会社の経営は成り立たなくなると考えます。 その事を考えると最終的には、会社は世間に支えられているという感謝の気持ちを持ち【世間よし】を実行できるよう己を磨き、将来的に【創り】上げていく必要があると感じました。

以上、理念・哲学を深めた感想文でした。私のコメントは次です。

「才覚と商才だけでは…『才におぼれる』と言い…己れ(魂)がなく才につかわれてしまっているのです」、「高潔な人格を備え、徳を身につけた“己れ”が才能をコントロールしているのです。…『徳』を高めて、“己れ”をつくっていくことが必要です」と書かれています。

致知出版社の稲盛和夫特集での『「人格」はどうやってできるのか? 稲盛和夫が語った人生の羅針盤のつくり方』では、『私が身を置く経営の世界にあっても、自分さえ儲かればいいという自己中心の考えから、不祥事を引き起こし、没落を遂げていく人がいます。いずれも経営の才に富んだ人たちの行為で、なぜと首をひねりたくもなりますが、古来「才子、才に倒れる」といわれるとおり、才覚にあふれた人はついそれを過信して、あらぬ方向へと進みがちなものです。そういう人は、たとえその才を活かし一度は成功しても、才覚だけに頼ることで失敗への道を歩むことになります。才覚が人並みはずれたものであればあるほど、それを正しい方向に導く羅針盤が必要となります。その指針となるものが、理念や思想であり、また哲学なのです。そういった哲学が不足し、人格が未熟であれば、いくら才に恵まれていても、せっかくの高い能力を正しい方向に活かしていくことができず、道を誤ってしまいます。』と書かれ、『この人格というものは「性格+哲学」という式で表せると、私は考えています。人間が生まれながらにもっている性格と、その後の人生を歩む過程で学び身につけていく哲学の両方から、人格というものは成り立っている。つまり、性格という先天性のものに哲学という後天性のものをつけ加えていくことにより、私たちの人格は陶冶されていくわけです。言い換えれば、哲学という根っこをしっかりと張らなければ、人格という木の幹を太く、まっすぐに成長させることはできないのです。』と説いてます。

 この「己れをつくる」方法、「いかに善きことに努めるか」として稲盛和夫さんは、『私はお釈迦様が説かれている六波羅蜜(ろくはらみつ)」という6つの修行がまさにそのための方法ではないかと考えております。つまりお釈迦様が魂を磨き、心を高め、悟りの境地に到達するための修行として説いておられることが、まさしく私が申し上げた善きことに努めるということと同じことではないかと思っています。』と書かれています。

 この「六波羅蜜」は、次の全体会議で社員の皆さんには、『稲盛デジタル図書館』を利用してDVDを見ていただきたいと思います。

六波羅蜜⇒布施(完全な恵み,施し),持戒(戒律を守り,自己反省する),忍辱(完全な忍耐),精進(努力の実践),禅定(心作用の完全な統一),智慧(真実の智慧を開現し,命そのものを把握する)の六つ。智慧は他の五徳目の根拠となります。

 

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