社長ブログ:時にふれてBLOG
両極端をあわせ持つ
更新日:2023/09/19
今週の社長勉強会は、102回目、248ページ「両極端をあわせ持つ」です。あと三回で項目は終わりです。Kgさんが担当で、読み合わせと感想を頂きました。感想文は次です。
経営者の心得の問題で難しいと思いました。このテーマは、異なる考えが同時に存在するという珍しい現象です。勇敢に行動することと恐怖を覚えること、長所と短所、喜びと悲しみなどを表現すると深い作品が生きてきます。多様性と柔軟性のことかと理解もしました。
私のコメントは次の通りです。
「一流の知性とは、二つの相対立する考えを同時に心に抱きながら、しかも正常に機能し続けられる能力をいう」とアメリカの作家F・S・フィッツジェラルドが述べています。「相反する両極端をあわせ持ち、局面によって正常に使い分けられる人格が、バランスのとれた人間性なのです」と書かれています。
稲盛和夫OFFICIAL SITEでは、「大胆さと細心さをあわせもつ」とのことで、「この両極端をあわせもつということは、『中庸』をいうのではありません。ちょうど綾を織りなしている糸のような状態を言います。縦糸が大胆さなら横糸は細心さというように、相反するものが交互に出てきます。大胆さによって仕事をダイナミックに進めることができると同時に、細心さによって失敗を防ぐことができるのです。」と説明しています。
黒澤明の作品!勇気名言集という書込みブログのなかでは次のように書かれていました。「悪魔のように細心に!天使のように大胆に!」。まさしく映画を作るための名言といってもいいでしょう。1975年に刊行された黒澤明作品集のタイトルに使われた言葉です。リアリティを出すために映らないところまで細心の演出をする一方で、リアリティを出すためにリアルではあり得ない大胆な演出をするのが映画です。
薬箱の引き出しの中を漆で塗る一方で、黒澤監督はイメージ通りのパンフォーカス撮影するためにセットでは強い照明を当てることもまた有名な逸話です。「悪い奴ほどよく眠る」のワンシーンではあまりに強い照明だったために守山演じる志村喬は「髪は燃えるほど熱く、テーブルのフォークやスプーンは熱くて持てなかった」と後に供述しています。
「天国と地獄」は後に誘拐犯に対する刑罰を改正させたほど影響力のあるリアリティを持っていましたが、身代金受け渡しに使われた「こだま用国鉄151系電車」は1編成をチャーターし、実際に東海道線上を走らせて撮影しました。まさしく細心と大胆が入り混じっているリアリティです。
過去によく「社長はいい人です」といわれました。「いい人」だけでは社長は務まりません。甘く見られていたのかも知れません。「この人は、会社の発展のためには害をなす」と思った人には、辞めていただいたことも何回かあります。利己的に辞めていった人もいます。今は経営理念と信念があります。「私を含めた全社員の幸福の実現」が経営の目的です。これを基準として物事を判断していきます。